2013/08/09 23:48:26
「そんな音では感動しないよ」
数限りないコンクール金賞常連バンドを生み出した指導者の言葉だ。
最初は音楽で感動って感覚がよくわからなかった。
でも、その指導者の指揮を見ていると、その音楽を感じようとすると
なぜだか涙がわいてくる。
これは、なぜだろう?
この心の高揚感はなんだろう?
おそらく言葉では説明できない部類のものだと思う。
教え方も、どちらかといえば理論重視より、感覚重視だったように思う。
しかし、結果的にその指導者が指揮をすると、確かに演奏の質が変わるのだ。
その指導者の特徴・・・今ならわかるが、本当に吹奏楽のお手本のような指導者だ。
ここに、吹奏楽バンド指導者が本来あるべき姿がある。
その指導者の基本的な指導方針をまとめてみると以下のとおりだ。
①とにかく響きの多い音色にこだわる
とにかく音の密度を上げ、パンパンに響きが詰まった粘りのある音を作ること。
音色が良ければ少々の雑さは隠れてしまう。
基礎練習から、いい音を出すことを意識する。
初めは一秒でも、二秒でもいい。
最高の音しか出してはいけない。
②練習は徹底的に基本重視
腹式呼吸、お腹の支え、楽器の構えなど、基本的なことを徹底的に仕込む。
③緩急メリハリ効いた美しい演奏
フレーズの頂点に向かって音の密度を増していく。
④フォルテの汚い音色を何よりも嫌う
息のスピードを上げ、ブワアッと開いた音を何よりも嫌う。
正直なところ、この指導者の一番の特徴は、透き通るよう美しいなフォルテ。
音圧と音色でダイナミックスを表現する。
あと、正確に吹けるレベルまで、テンポを落としていた。
たとえ盛り上がりに欠けるような演奏になっても。
⑤理論重視より、感覚重視
そして、その指導者は、学校の先生だった。
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2013/08/04 12:35:01
今まで吹奏楽に関する技術的なアプローチをたくさん紹介してきました。
このブログの記事は、あるひとりの偉大な指揮者の吹奏楽に関する姿勢を基本ベースに、世界的指揮者や、今までにお会いしてきた多くの指揮者、指導者の意見を肉付けしたものをわたしの独善的解釈で編集しなおした形になっています。
つまりは、このブログも、挑戦的な試みのひとつで、万人にとってベストの方法かと聞かれると、決してそうでないと言わなければなりません。
とはいえ、記事の中には、基本的なこと(特に楽器を初めて間もないような初心者向けの記事)から、高度な一流サウンドを作るためのヒントを散りばめておきました。
必ずあなたたちが、音楽の道を進む上での道しるべとなるはずです。
さて、今回は少しそのような方向性からは別の角度で、音楽の感動を分析してみたいと思います。
人はなぜ、音楽に感動するのか?
先に答えを言うと、感動を作り出す引き金になっているのは、
①「その音楽がどれほど観客の記憶にリンクしているかの度合い」
②「本能的な刷り込み」
③「空想世界をリアルに感じさせるか」
の3つです。
この中でも最も感動に結びつきやすい①の「記憶要因」について説明します。
そもそも現実的な話をすると、音楽なんて所詮は「空気の振動」なのです。
それでも、それに感動する人がいる。
その音楽の感動は、観客自身の記憶が作り上げているものだからなのです。
童謡のふるさとを聞いて、懐かしくなるのは、田舎の風景や、自分が幼かった頃の風景の記憶とがんじがらめに関連付けされているからなのです。
これはいわば刷り込みです。
ある音楽を聴いた瞬間に昔の記憶を思い出し、感情がぐっとこみ上げてくる。
これは、大脳皮質にしまい込まれた過去の記憶を引っ張り出すと同時に、感情を司る脳の扁桃体も刺激され、心を揺さぶるのです。
ドラマのテーマ曲は、ドラマの感動的、印象的なシーンの記憶を
日本的なサウンドは、過去の記憶から、日本的な記憶を引っ張り出してきます。
また、楽器経験の有無は、感動の有無の強い要因となります。
自分がハイトーンが出ないことに悩み苦しんだ人にとって、スパーンと響くハイトーンの音には強いあこがれ(惹きつける要因)があるのです。
ピッチに苦しめられた人にとって、透き通るようなクリアなサウンドは強いあこがれ(惹きつける要因)があるのです。
これもまた、記憶にリンクさせ、感動させる要因なのです。
音楽は、こうして昔から利用されてきました。
歴史的にも音楽は、儀式や呪術という形で利用されていました。
また、音楽はユダヤやキリスト教との結びつきも強く、賛歌にも用いられています。
また、音楽療法として、病の治療に音楽が使われていることも珍しくありません。
ユダヤ王サウルのうつ病を、ダビデという若者が竪琴で治したり、第二次世界大戦中に、米国の野戦病院では音楽療法を利用し、兵士の治癒を早めたりなどたくさんのエピソードが残っています。
遥か昔から、人類は音楽の持つ影響力に気付いていたのです。
人々を鼓舞し、恐怖させ、落ち着かせ、幸福にさせてきたのです。
音楽の力は、かなり強力なのです。
感動は作れる。
このブログの記事は、あるひとりの偉大な指揮者の吹奏楽に関する姿勢を基本ベースに、世界的指揮者や、今までにお会いしてきた多くの指揮者、指導者の意見を肉付けしたものをわたしの独善的解釈で編集しなおした形になっています。
つまりは、このブログも、挑戦的な試みのひとつで、万人にとってベストの方法かと聞かれると、決してそうでないと言わなければなりません。
とはいえ、記事の中には、基本的なこと(特に楽器を初めて間もないような初心者向けの記事)から、高度な一流サウンドを作るためのヒントを散りばめておきました。
必ずあなたたちが、音楽の道を進む上での道しるべとなるはずです。
さて、今回は少しそのような方向性からは別の角度で、音楽の感動を分析してみたいと思います。
人はなぜ、音楽に感動するのか?
先に答えを言うと、感動を作り出す引き金になっているのは、
①「その音楽がどれほど観客の記憶にリンクしているかの度合い」
②「本能的な刷り込み」
③「空想世界をリアルに感じさせるか」
の3つです。
この中でも最も感動に結びつきやすい①の「記憶要因」について説明します。
そもそも現実的な話をすると、音楽なんて所詮は「空気の振動」なのです。
それでも、それに感動する人がいる。
その音楽の感動は、観客自身の記憶が作り上げているものだからなのです。
童謡のふるさとを聞いて、懐かしくなるのは、田舎の風景や、自分が幼かった頃の風景の記憶とがんじがらめに関連付けされているからなのです。
これはいわば刷り込みです。
ある音楽を聴いた瞬間に昔の記憶を思い出し、感情がぐっとこみ上げてくる。
これは、大脳皮質にしまい込まれた過去の記憶を引っ張り出すと同時に、感情を司る脳の扁桃体も刺激され、心を揺さぶるのです。
ドラマのテーマ曲は、ドラマの感動的、印象的なシーンの記憶を
日本的なサウンドは、過去の記憶から、日本的な記憶を引っ張り出してきます。
また、楽器経験の有無は、感動の有無の強い要因となります。
自分がハイトーンが出ないことに悩み苦しんだ人にとって、スパーンと響くハイトーンの音には強いあこがれ(惹きつける要因)があるのです。
ピッチに苦しめられた人にとって、透き通るようなクリアなサウンドは強いあこがれ(惹きつける要因)があるのです。
これもまた、記憶にリンクさせ、感動させる要因なのです。
音楽は、こうして昔から利用されてきました。
歴史的にも音楽は、儀式や呪術という形で利用されていました。
また、音楽はユダヤやキリスト教との結びつきも強く、賛歌にも用いられています。
また、音楽療法として、病の治療に音楽が使われていることも珍しくありません。
ユダヤ王サウルのうつ病を、ダビデという若者が竪琴で治したり、第二次世界大戦中に、米国の野戦病院では音楽療法を利用し、兵士の治癒を早めたりなどたくさんのエピソードが残っています。
遥か昔から、人類は音楽の持つ影響力に気付いていたのです。
人々を鼓舞し、恐怖させ、落ち着かせ、幸福にさせてきたのです。
音楽の力は、かなり強力なのです。
感動は作れる。