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最果ての城のゼビア(2014年度全日本吹奏楽コンクール課題曲 I )



練習ポイント











映画の予告編で流れるBGMのように作るのが作曲者の要請のようだ。となると、ある程度それなりのオーバーな演出をする必要がある。スコアを見ると、映画音楽特有の雄大さは感じるのだが、比較的平坦な構造だ。映画であれ吹奏楽であれ、観客を引きつける「つかみ」がないと観客は最後まで聞いてくれない。ラストまでの長い道中で飽きてしまうのだ。つかみに成功すれば、多少の退屈は辛抱し、最後までお付き合いしてくれるのだ。この曲を見事仕上げることができたら、バンドの表現力はケタ違いに上がるだろう。何の変哲もない、「そこらへんの一般人」を「ハリウッドスター」にするような一種のプロデュース能力が鍛えられる。そういう観点でみると、非常によくできた課題曲である。おそらく実力のないバンドは、ノリと勢いに任せた演奏をするだろう。きっとそれでは、「変な曲だな」で終わってしまう。だが、おそらくこの曲の真価はそんなところでは発揮されない。これは作曲者からの大きな問いなのかもしれない。なかなか噛みごたえのある課題曲だ。



















◆8分の6拍子の苦手意識をなくそう




8分の6拍子は難しいと思っている人は多い。実際のところ8分音符3つを「1つのまとまり」ととらえるだけなのだが。4分の4拍子に慣れすぎていて、1拍でリズムをとらえてしまうと奏者は混乱をきたしてしまう。慣れてしまえばそれまでなのだが、意外に手こずる場合もあるのだ。8分音符単位で考えると整理しやすい。













まずは、おなじみの4分の4拍子でやってみる。














1   2   3   4





      ↓






1 と 2 と 3 と 4 と



 ※「と」は裏拍







まずはこうして8分音符単位で考えられるようにする。





これを、8分の6拍子に直すと













1 と と 2 と と




となる。

8分音符単位で考えるとなんてことはない、ただのワルツなのだ。





それでも分からなければ、8分音符に言葉を当てはめてみよう。

8分の6拍子だと「たなか」、4分の4拍子だと「なか」にして繰り返す。

もちろん1文字の速さは一定でなければならない。メトロノームで8分音符を鳴らしてやるといいだろう。









リズムを定着させるために、「4分の4拍子」と「8分の6拍子」を交互に繰り返す練習をしてみるとよくわかる。

リバーダンスに出てくる「タトト タトト タト タト タト」リズムなのだが。


言葉にすると「たなか」「たなか」「なか」「なか」「なか」と、こんな感じだ。






とはいえ、頭で分かっていても曲を吹くと意識が飛んでしまうというのはよくあるケースだ。音源を聞きながら口で上のリズムを暗唱してもいい。


マーチング練習のように、曲を合奏しながら、わざとパーカッションに8分音符を叩かせるのもなかなかいい練習方法だ。重要なのは、このビートを体に慣れさせることなのだ。













◆縦の線(各楽器の発音の印象、タイミング)を厳密に合わせる




全員のリズム感を合わせること。そうでなくてもテンポが狂いやすい「8分の6拍子」である。さらに、場面場面でスピード感が変わり、明確なテンポがわからないまま突入していく場面がかなりある。



とても怖い曲なのだ。



たとえば、冒頭部分1小節目、7小節目だ。冒頭の1拍目は分かるが、2拍目が提示されない。つまり、非常にテンポのつかみにくい始まりなのだ。さらに曲の合間に「音が少ない」又は「ない」空白地帯もかなり存在する。テンポがいったんリセットされてしまう箇所も多いのだ。合奏で歌ったり、行進をしながら練習をしたり、スネアドラムを叩かせたり、わざとリズムを揺らし指揮者についてこさせるような訓練をしよう。要は、結果的に縦の線が合えば何でもいいのだ。しかし、この曲の場合、指揮で完璧にバンドをドライブする自信がなければ、奏者同士でアンサンブルさせたほうがよいかもしれない。指揮者も、毎回、瞬間的に次のテンポを一振りで提示するのは至難の業である。何十回も歌と楽器でアンサンブルを重ね、ある程度確信をもって吹かせないと、音が前に飛ばず消極的な演奏になってしまう。各楽器でつないでいくような綱渡りがメインなので、一歩間違えればツギハギだらけの曲になってしまう。皆が考える以上に各楽器のスピード感は違うのだ。




この原因のひとつが「発音」だ。



楽器によっては、発音にストレスが多い楽器が多い。若干の発音のズレは、いつのまにか本人のスピード感の遅れにも関係する。やはりパート内練習だけでは無理がある。合奏や、セクション練習の時間を多めにとるべき。



















◆キーポイントは打ち込み




この曲の冒頭に始まるアクセントの付いた短い音符「打ち込み」が雰囲気やリズム感を作る。この打ち込みの演奏には、コツがある。



「固く吹く」ことだ。



「プゥン」、「ゥウン」、「ポー」といった柔らかいアクセントだと、曲の緊張感が一気に下がり、テンポもあいまいになる。「ブン!」、「ブンッ!」といった固いアクセントで決めにかかろう。ハッキリとした音形を作るには、管楽器よりもパーカッションの得意分野だ。よって打楽器をメインに調整する。打楽器の打撃音に管楽器が響きをつけるつもりで、発音と印象、音の長さを合わせる。やはり発音にはこだわろう。音が出る瞬間からMAXの響きを作ろう。基礎練習ができているか、こんなところでも問われているのだ。









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◆冒頭部分はどうするか




冒頭のアタックでいきなり曲の雰囲気が決まる。定石だがここはこだわりたいところだ。トリルの吹き方や上質なクレッシェンドなど多くの研究材料がある。トリルは半音と全音を同じにしないこと。タイミングも合わせると明瞭になり臨場感が増す。ちなみに木管は変え指を試してみること。



おそらく冒頭部分からAまでで、ほぼ曲の評価が決まる。



これは、コンクールの点数だけの話ではなく、曲想を決定する重要なシーンなのだ。長調でも短調でもない、古めかしいフリギア旋法が使われている。独特の響きを再現できるかがカギだ。重要な音はホルン12小節目最後のEsの音だ。この音符をおろそかにしてはならない。この音をきっかけに曲が変化する。この教会旋法をキメて一気に聴衆の心をつかんでしまおう。



























◆似たフレーズを意識しよう




この曲は似たフレーズが繰り返し登場する。わかりやすいのが23小節目と24小節目のホルンからトランペットへのメロディーの変遷だ。その次の「24小節目から31小節目」は「16小節目から23小節目」のメロディが楽器を増やして繰り返されている。似たフレーズは、曲のあちこちに点在している。意識すると曲の構造が見えてくる。スコアを見ると一目瞭然なのだが、わかりやすい「前面に出るメロディー」と「潜るメロディー」がある。突然始まるわけではなく様々な楽器でリレーしていることを意識すべきであろう。その部分だけを抜粋して練習してもいいのだ。そうすることで奏者も注意して聞くべき音を理解しやすい。また、楽器が変わっても吹き方を変えてはいけない。統一的な吹き方をしなければまとまりが失われゴチャゴチャした演奏になる。さらに整理すべきはメロディーだけではない。メロディの合いの手も同時に交通整理しなければならない。Aからのフルート、サックスのフレーズがそれに当たる。ここの部分もバッチリ合わせて差をつけよう。













◆メリハリを効かす




この曲は、スピード感や雰囲気がCMのようにコロコロ切り替わる。まるで切り絵のようで、場面場面に合った演奏をしないと、これほど間抜けに仕上がる曲はない。間違いなく、下手なバンドは終始フォルテ気味になる。そして意味もなくテンポを上げ始める。乱暴で大味な曲になるリスクを抱えた曲だ。さらにいうと曲のピークをどこに設定するかが思案のしどころだ。音量の変化が複雑で、寄せては返す波のように、一進一退を繰り返す構造だからだ。それでも曲のピークを意識して全体で一つの作品に仕上げなければならない。いかにして聞かせる曲に仕上げるかが与えられた大きな問いだ。カギとなるのは、やはりトランペットとホルンだ。なぜなら場面が切り替わる中で唯一音を出し続けているのが、これらの楽器だからだ。他の楽器は、これらの楽器を注意深く聴こう。




音量ダイナミクスと共に意識するのはハーモニーの変遷だ。移り変わりがハッキリ分かるように響きを作らないといけない。特に117小節目からの移り変わり方は尋常ではない。作曲者の意図が見え隠れする。この変化が音楽的緊張を一気に引き上げている。いずれにせよハーモニーをキメる音は短い音が多く、響きが作りにくい。難易度は高いと言える。ハーモニー構成を全員が意識するようにしたい。















◆木管高音群にかかっている




いかにもキツくなりやすいクラリネットのフレーズ。ピッチの悪さが露呈する冒頭ホルンの裏の伴奏連符など難所が多いが重要な部分を占めるのが木管の役割。金管楽器も、木管のような温かみのあるやさしい音色とニュアンスである程度木管主導で作ったほうがいい。特に木管高音楽器群が音をブレンドできないのは一番の致命傷。アンサンブルはいとも簡単に崩れる。曲全体としてまとまりに欠けてしまう。こういう曲は、そこが一番のリスクか。そこそこ粒ぞろいの奏者が各パートに点在していないと、強いものが弱いものをカバーするような誤魔化しのきく曲ではないようだ。






























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HN:
鈴幕府
性別:
非公開
趣味:
吹奏楽、オーケストラ
自己紹介:
楽器歴はトランペット、ユーフォ、ファゴット、オーボエ、アルトサックス。
オーケストラ、心理学、芸術などの要素を取り入れ、新しく本格的な音楽を作る。また、チームワークを大事に一人一人がもっと輝く、情熱を傾ける、感動するための音楽を目指す。吹奏楽の楽しさを伝えます。
2013/01/20 13:08:15