『技巧を駆使していないかのように、演奏が単純で容易に見えるような繊細なテクニックが演奏者には必要だ。』
かの有名なモーツァルトは、こんなセリフを残しています。どんなに、楽譜を真っ黒に埋め尽くしすほどの16分音符や12連符などの連符を目の当たりにしても、演奏者は汗ひとつかかず、「優雅」に音楽を表現せよとのことです。
曲によっては、プロでも、丸一日練習をしなければならないようなものもあると聞きます。
「コンクール至上主義」的な観点から、年度を追うごとにテクニカルな曲がもてはやされてます。
結局はそういう曲芸的な方向でしか「演奏の良し悪し」を表現できませんから、曲の雰囲気というものがどうも二の次になっているような気がします。
吹奏楽コンクールの全国大会で「ロマネスク」の情緒あふれる演奏を披露した学校がいました。透き通るような美しい音色でした。
今やこんな趣向はきっと時代遅れなのでしょう。
ウィーンフィルが超高速「剣の舞」を披露していました。さすがはプロ集団だけあって、あの高速テンポでも音色の美しさは維持し、曲の破綻とまではいきませんでしたが、細部にはほころびが見えました。どうも曲そのものの魅力はそこには無い気がします
「ダフニスとクロエ」や「熊蜂の飛行」も難度の高い技術が求められます。
これらの曲は「指さえ回ればok」というわけではありません。ダフニスとクロエでは鳥の鳴き声、熊蜂の飛行では蜂の羽音を本物そっくりに再現します。ギッシリつまった音符の群れは同時に高い音楽性も求めているのです。
速いパッセージの習得は、地道な練習が一番の近道です。松本孝弘さんもこう言っています。
『早弾きのコツはありません。練習しかありません。』
というわけで、攻略法とまではいきませんが、克服のヒントだけは記しておきます。
①ゆっくり演奏する
落ち着いて楽譜を見てみると半音階の下降、上昇など
意外に普通の組み合わせも多い。
恐れず、100パーセント全ての音符が演奏できるテンポから始めましょう。
②歌ってみよう
よく5連符やら6連符に、5文字、6文字の単語を当てはめて
歌っている練習がありますね。
それ以上の12連符などは分割して6連符と6連符というように
分割して練習してみましょう!
ポイントはメトロノームを鳴らし、一拍の間に、この単語を当てはめるようにしましょう。
「いけぶくろ」「しんさいばし」…
③指を楽器に可能な限り近づける
動きが必要最低限になるよう工夫しましょう。
④指を猫の手のように曲げる。指の腹でベタッと押さえない
⑤連符のフレーズの最後まで息を入れる
速いパッセージになると、体が萎縮して息が入らないケースが多いのです。
⑥一音一音吹こうとしないで、フレーズで吹ききる
細部にクローズアップしすぎると、いざ速いテンポに戻ったときに、脳が違うフレーズと認識してしまうため、うまくいきません。
一つ一つの音符のピッチや音質も意識しつつフレーズで練習しましょう。
⑦意識して指を開いてみましょう
人間の指は、物を握るためにできています。握る方への力はかけやすいのですが、指を開く方の力は意外と弱いのです。
特に中指と薬指の動きが、鈍い人が結構います。
握った状態で、小指から人差し指まで一本づつ広げていく練習をしてみてください。
慣れてきたら高速でやってみましょう。
その時ちゃんと一本一本広げていくように意識してください。
二本の指が同時に動かないように意識するのです。
『10本の指それぞれが、あそこまで完全に独立した生命体として動くピアニストがいただろうか?』と評されたグレン・グールドを目指して頑張ってください。
⑧空いた時間でエアー演奏しよう
指を動かすだけでも、練習になります。
各パート一人づつというのは、その練習の応用です。
曲の構成を奏者が理解するには、なかなかいいやり方だと思います。
全員で吹いてしまうと「音の洪水」になってしまい
意識しにくかった事が、理解できます。
自分はあのパートと一緒だったのか…
あのパートと合いの手だったのか…
そんなのセクションや分奏をやればいい!
確かにそうです。
しかし、違うパートが吹いている音を聞く事も大切だと思います。
まずパートリーダーで吹き方をそろえ、その吹き方をパートの子が聞く
伴奏がメロディーの吹き方を聞く、木管が金管を聞く、金管が木管を聞く
他のパートを聞くことがアンサンブルの基本です。
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