音色を使い分けよう!
2007/06/26 19:05:24
音楽のメリハリは、音の強弱(ダイナミクス)だけでつけるわけでは、ありません!
きちんと曲に合わせて音色を変えてみましょう。
クリアな音色、ぼんやりした音色、ノイズが混じりの音色
明るい音色、落ち着いた音色、伸びやかな音色、ピンと張り詰めた音色
固い音色、柔らかな音色・・・
これらの音色の変化があるからこそ、音楽は奥深く、飽きがこないのです。
事実、音色の変化を効果的に使うことで、面白みのない演奏が、一気に立体的で魅力的な演奏になります。
まずは、その曲のジャンルを調べましょう。
そして、どのような場面なのか、風景が見えるのか想像するのです。
固い音色で緊張感を
ねっとりとした音色でスペイン的に
パイプオルガンのような棒状の音形と柔らかい音色で協会音楽風に
軽い音色でさわやかなマーチを
ガチガチの音色で荘厳、ダイナミックな雰囲気を...
このように変化は無数にあるのです。
ところで、私が音色と聞いて思い浮かぶのが「ボレロ」です。
この曲には、テナーサックスのソロがあります。
あまりオーケストラにはなじみがない楽器ですが、この曲をベルリン・フィルが演奏したときのことです。
一切のジャズ色を封印し、見事にクラッシックの曲に調和するようなパーフェクトの音色を奏でています。
ここで、ジャズ特有のダーティーで複雑なリズムアレンジを効かせた演奏をしてしまうと、見事に曲全体の雰囲気が崩れてしまう、危うい綱渡りだったのです。
もちろんテナーサックスに限らず、楽器も個性を光らせつつも、まるで同じ色に染まったかのような統一感ある音色を最後まで維持しており、まさに神業的な仕上がりになっていました。
このように、曲によって求められる音色、ふさわしい音色といううものが存在します。
みなさんも、ジャズベースの曲、ポップスの曲、クラッシックの曲を演奏するときは吹きかたを変えてみてください。
ポップスの曲は、少しだけ息のスピードも速くして軽めに吹くとノリよく吹けます。
逆に、重々しい、重厚感あふれるクラッシックの曲は、マーチのようにノリよくポンポン...と吹いては曲の雰囲気が壊れてしまいます。
音符をズンズンと押し付けるような固い音色が必要なのです。
また、逆に曲の途中で音色を変化させることで、効果的な演出をすることも可能です。
マーチでも、冒頭のファンファーレの時の音色と、中盤のトリオの歌うような音色は違うと思います。
差をつけるからこそ、お互いの場面が生き生きしてくるのです。
参考:柔らかい音。
また、フレーズのピークである高い音、長い音を吹くときにスッと音色を変えることで劇的な印象を与える方法があります。
(アーフタクトの先の音符など)
そこまで緊迫し、緊張が高まってきた演奏が一気に緩和された柔らかい音色、明るい音色になり、一気に曲の雰囲気が変わる。
音色を変えることで、演奏の幅が無限に広がり、いわゆるバンドの「味」がでてくるのです。
ノイズを取り入れたダーティーな音色で吹くにじみ出るようなジャズ
クリアで暖かい音色で神々しさを感じさせるようなコラール
変化は無限です。
音色を変える練習は2001年の全日本吹奏楽コンクール課題曲
「栄光をたたえて」などどうでしょうか?
この曲は、難易度的には比較的易しいのですが、コラールやファンファーレ、マーチという構成になっており、いろいろな練習が一つの曲できる教科書的な一曲です。
基礎として多くの団体で練習されています。
まさに課題曲にふさわしい一曲だと思います。
そして音色の変化の練習にも非常に役立つと思います。
冒頭のゆったりした部分、徐々に高まり輝かしく始まるファンファーレ
そしてマーチと、音色を研究してみてください。
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